棟瓦積み直し工事機について解説します① 棟瓦とはどんな役割がある?








屋根の頂点のところを「棟(むね)」と言い、そこに水平に並べられた瓦が棟瓦です。屋根の面同士が三角形で合わさる棟には隙間ができるため、それを塞ぐように棟瓦を設置します。 この棟瓦はてっぺんから内部に雨水が入り込むのを防ぐ役割があり、「雨漏り防止」の重要な役割があります。
また、棟瓦には「美観の向上」という役割もあります。 最も上に積まれた棟瓦は、瓦屋根をさらに美しく仕上げる部分。綺麗に真っすぐ並べられることで風格も漂う屋根になります。 棟瓦積み直しとは? 棟瓦に劣化やダメージが起こると、雨水が入り込み倒壊のリスクや見た目も悪くなります。 そこで、既存の瓦屋根の棟部分を一度解体し、新しくまた瓦を積み直してメンテナンスを行っていくことを「棟瓦の積み直し工事」と言います。 積み直しを行うことで棟瓦の「耐久性」、「美観」を元に戻します。 棟瓦の劣化と各種積み直しの施工手順について 棟瓦の積み方には種類があり、主に「湿式工法」と「乾式工法」に分かれます。また、「和瓦」、「洋瓦」によっても積み方が異なります。 ここでは、それぞれの積み方の特徴や積み直しの施工手順についてご紹介します。
湿式工法 湿式工法は、粘土や泥などの水分の含んだ「葺き土や南蛮漆喰」を使った施工方法となります。 この工法は、棟瓦を高く積み上げて仕上げる伝統的な和風建築によく採用されています。この積み方は「大回し工法」とも呼ばれています。 また、「丸瓦」や「三角瓦」を一本だけのせて仕上げる「冠瓦一本伏せ」という工法も洋瓦などでよく施工されています。 湿式工法のデメリットは、水分により重量が増し、建物の負担になる側面があります。 大回し工法 従来から施工されている旧工法となります。
■不具合や劣化症状 土台となる葺き土や漆喰が経年劣化すると固定力が弱まり、瓦が徐々に動きずれが生じて棟瓦が歪んできます。 そのような状態になると台風や地震で状況がさらに悪化して「棟瓦の崩れ」、そして「崩れた棟瓦の破損や割れ」などにつながります。また、仕上げに巻いている「緊結線」は何十年もすれば劣化するうえ、強風や地震などで「緩み・切れ」が起こることもあります。
■施工手順 ①既存棟瓦の解体
②新しい鬼瓦を銅線で固定する
③南蛮漆喰をつめていく
④のし瓦・冠瓦を再び並べて積み直す
⑤銅線を巻いて固定する 冠瓦一本伏せ工法 下地に芯材を取付け、その芯材に冠瓦を釘やビスで固定する工法です。
■不具合や劣化症状 この工法の場合は、経年で釘浮きが発生します。釘の浮きにより隙間が発生すると雨水が入りこみ下地が木材の場合は「腐食して冠瓦が剥がれ」てしまう原因となります。 新しく積み直す場合は、腐食しない樹脂製の下地の使用が推奨されます。
■施工手順 ①既存棟瓦の解体
②補強用の金物・芯材を取り付ける
③南蛮漆喰をつめていく
④冠瓦を再び並べて積み直す
⑤冠瓦を芯材にビスや銅線で固定する